NIIMI SANGYO PROMOTION
ニイミ産業
マーケティング・ブランディング支援
課題発見プロセス
東海地方でガス供給事業を展開するニイミ産業様。私たちはそのBtoB部門にあたる工業用LPガス部門のマーケティング・ブランディング領域を支援しています。同社では営業活動のデジタル化やWEB活用の取り組みを積極的に行っていたそうですが、既成のサービスを導入するだけでは成果に限界を感じていたそうです。
そこで私たちはデジタル・WEB活用を前提とした具体的な打ち手を考える前に、フラットな視点から同社の持つバリューについて詳しく調査することにしました。
サービスの強みやメリット、顧客が得ているベネフィット、また具体的な顧客像を担当者との対話によって探っていきました。
期待を裏切るアイデアが、担当者の心に火をつけた
行き着いた代表的な顧客像である工場経営者は、デジタルリテラシーの低い方が大多数であることがわかりました。それを踏まえてひねり出したアイデアは、当初のデジタル活用とは真逆の紙メディアの創刊というもの。
メディアづくりで重要なのは、戦略以上にスルーされない(捨てられない)高い質を持ったコンテンツをつくること。手っ取り早く専門業者に任せたり、顧客や業界に当たり障りのないコンテンツであればいくらでも増産は可能です。でもそれでは相手に刺さらない。やるなら読者の心が動き、ポジティブな気持ちになれるコンテンツをつくりたい。部門責任者と私たちの想いが一致した瞬間でした。
光を当てる
部門の方々と丁寧に対話をし、行き着いたのは個性豊かなそれぞれの工場に眠るストーリーを、その担当営業マン自らが編集員となって取材し記事にしていくというもの。自分たちしか知りえない工場固有のストーリーに光を当て、それをドラマチックに描き切ることでその魅力を広く伝えていきたい。
デザイナー、ライター、フォトグラファーが編集チームに合流し、町工場のリアルを切り取る最高のコンテンツづくりへの挑戦がスタートしました。
集まる関心
現在5号を発行しましたが、このプロジェクトをきっかけに売る側・買う側というこれまでの顧客との関係性が少しづつ変わってきているそうです。それを証明するのが、東海地方のシェアナンバーワンの新聞である中日新聞への掲載。いち私企業が発行する紙メディアを、大手新聞が大きく取り上げることは珍しいのですが、同社のこの取り組みがただの営業活動ではなく、それに収まらない価値があると評価されてのこと。「この取り組みをもっと多くの人が知るべきだ」という記者の想いがこの掲載に繋がったのだと思います。
また、秀でたBtoB広報活動に対して毎年贈られるBtoB広告賞においてもHello! FACTORYが銀賞を獲得することができました。
毎年大手企業が受賞を独占する中、限られたリソースで展開したこの取り組みが評価された理由には、広報活動における「主体性ヘの回帰」があったと考えます。マーケティングや広告キャンペーンは外部の専門家に丸投げするという企業も少なくない中、自らが編集員となり責任を持って取り組み、結果として他にはない鋭く魅力的なコンテンツが生まれる。本来当たり前のことなのかもしれませんが、決して簡単に真似のできることではないと思います。
一歩先へ
Hello! FACTORYはこれまで紙をベースにゆっくりとしたペースで渾身のネタを提供してきましたが、「もっと顧客の魅力を、本人たちの代わりとなって発信していきたい」という思いから拡張版としてウェブ版をリリースすることになりました。
営業・マーケティング的な発想からスタートした取り組みが、社会や業界の活性化の一助として確かな支持を得ながら確実に広がっています。
部門の独自サイトも制作。サービスの見せ方も事実に基づいて豊富な情報を並べながら、インパクトのあるビジュアルで自分たちのスタンスを宣言できるものを目指した。
プロデュース/湊慎太朗
クリエイティブ/小園勝之(ハッテンボール)